【KIssの会 ゲスト投稿no.17】「ハワイのお正月」

2018-01-01 投稿者 7期生 近藤 秀子さん 

日本とハワイを住み分けるようになって二十年ほど経つ。十回位はハワイでお正月を過ごしていると思う。大晦日の夜はものすごい爆竹の音で始まり、驚いたものである。一晩中爆竹のはじける音と臭いに悩まされた。一夜明ければ,あたり一面赤いチョークのような爆竹の残骸が、風に吹かれて散らかっていた。毎年どこかで火事が起こり、怪我人が出、死者まで出ることがあった。しかし、近年ではほとんど爆竹の音は聞かなくなった。爆竹や花火に対する規制が強くなったのだろう。 


お正月は静かに明ける。元旦がニューイヤーズディでナショナルホリディだが、二日からは平常の生活に戻る。近くのマジックアイランドは、早朝からいつも散歩やジョギングをする人たちで賑わっているが、元旦は特に日の出を見に沢山の人がやって来る。カメラを構える人、太極拳をする人、太陽を拝む人、さまざまだ。元旦の礼拝を野外で行っている教会もある。

 

土曜日に山歩きをするグループに参加していたが、元旦にはいつも、オアフ島の東端、マカプウ岬の丘に登り、日の出を眺めた。そこからはよく鯨を見つけることができた。潮を吹く鯨の姿も勇壮だが、崖の上から大きな鯨のつやつやした背中を見下ろすのも素晴らしい。小さな子供でも歩けるやさしいハイキングコースで人気がある。  お正月は、普段の休日とあまり変りなく暮れてゆく。その前のクリスマスが長いこと賑やかに騒がれているので、後に続くお正月の影が薄くなってしまうような気がする。クリスマスの賑わいに比べれば、お正月は本当に静かなものだ。


 多民族が集合して成り立っているハワイは、各々が独自の生活習慣や伝統を維持継承して暮らしていると思う。中国人は賑やかにお正月を祝う。しかし、中国の新年は二月に入ってからだから、我々には二度目のお正月のような気がする。来年は2月16日が元旦に当たる、と聞いた。ホノルルでは、チャイナタウンのメイン通りに、沢山の屋台の店が立ち並び、中国料理の香りが漂う。道路は歩行者天国となり、即席の舞台が建てられて、夜遅くまで色々なパフォーマンスが演じられる。バスの運行コースも変更する念の入れようだ。

 

朝から鳴物入りでドラゴンダンスの行列が練り歩く。チャイナタウンばかりではなく、近くのドンキホーテの店の前にもやって来る。ジャラジャラ・ドンドンと騒々しい。チャイナタウンでは、道の両側に見物人がびっしりと詰めかけ、ドラゴンが頭を振りながら来るのを待っている。おどけたしぐさでドラゴンが近づくと人々は先を争ってドル札をその口の中に投げ入れる。日本の獅子舞にも似ているが、中国から日本に伝わってきたものらしい。韓国人やフィリピン人も多く、それぞれお国柄の行事があるのだろうが、中国ほどには目立たない。

   

ハワイは、オアフ島をはじめマウイ島、ハワイ島など8島で成り立っている。島それぞれで風習などが違うかもしれない。小さなニイハウ島は個人所有の島で、島民はハワイ語を話し、生活も他の島とはかなり異なるらしい。入島するには許可が必要で、誰でもが行ける島ではないと聞く。今でも、ハワイ王朝時代に戻そうと運動している人達がいる。王族の子孫も生存している。大国に呑まれてしまったハワイ。ハワイにも独特の仕切りがあったのでないだろうか。昔はどんなお正月をすごしていたのだろうか。