【Kissの会 ゲスト投稿no.62】        「日本のクルマ社会を考える」

2020-11-01  (7期)  馬淵 俊朗さん

 

◆古い車のデザインが好きだ

毎年、秋から冬にかけて全国でクラッシクカーのイベントが開催される。今年は残念ながら、多くが中止に追い込まれた。クラッシクカーは現代の車に無いデザイン的な魅力がある。流れるような流線型の車体や独特の丸みを帯びたデザイン。アメリカの車には無駄とも思えるフィンを付けたものも。逆にジープ等は実用性の追求でまさに機能美と言える。映画の中での古い車は、映画の俳優以上に、その時代にタイムスリップさせる重要な要素。車と共に懐かしい時代へと、いざなうのである。

◆車の寿命

昭和の時代はクルマの寿命は登録してから廃車になるまで、およそ7年~8年と言われていた。それが現在は13年~15年と言われている。人間もそうだが車の寿命も延びている。技術の進歩と、そう簡単にはクルマを乗り換えられない経済的事情もあるのだろう。因みに普通車の価格は、ここ10年で1.2倍に。軽自動車に至っては中心の価格帯は1.5倍になっている。

◆車の税金

日本はクルマに関わる税金が諸外国と比べると非常に高い。自動車重量税・自動車税・ガソリン税・消費税合わせて年間9兆円ほど。消費税アップで自動車取得税は無くなったものの諸外国と比較して車に関わる税金は異常な程高い。また、クルマの寿命が延びているにも関わらず、自動車税は13年を超えると15%アップ。軽自動車では20%アップ。重量税もアップする。16年を超えると更にアップする。古い車は環境負荷が大きいというのが理由ではあるが、車の買い替え促進と言う国の経済政策が見え隠れする。新しい車を作るには莫大な二酸化炭素を生み出す事になるのだが。海外では古い車を大切に永く乗ることで税金が安くなるところもある(ドイツ他)。

◆日本の通勤通学の手段(18歳以上)

総務省統計局の資料から見つけたものだが18歳以上の人の通勤・通学手段

    ・1位  自家用車だけ     2751万人  44%

    ・2位  鉄道電車だけ     867万人    14%

    ・3位  自転車だけ      751万人    12%

通勤・通学(18歳以上)手段は鉄道だろうと思っていたのが自家用車が断トツでトップと言うのには驚いた。山形県72%、富山県72%群馬県71%。ちなみに東京の車通勤は12%である。大都市を除けば車の無い生活は成り立たないのだ。

池袋の高齢者が引き起こした悲惨な事故から、日本全国で車に頼らない生活が必要ではないかと考えていたが、この通勤通学手段で自家用車が一番多いという数字を考えると、もう一度考え直さなければならない。12,600万人の人口に対して走っている車は8000万台以上。我々が思っていた以上に日本はクルマ社会なのだ。今、人生10台目の車を買うか迷っている。購入したいという欲望の後ろから「高齢者の免許返納」という恐怖の言葉が迫ってきている。