【ゲスト投稿 no.58】  「人生色々・・・」

2020-05-01  (7期) 岩田 良江さん

 

過日、カテーテル手術中に血塊が脳にとび、脳梗塞で予期せぬ入院をした。年のせいもあるが入院中夜中になると人生を振り返る。角隠しを付けて嫁入りしたが、角は何度も生え変わり、これが自分の本性かな?と何となく思った。

 

50年前結婚して間もない時、駅前に8階建マンションが建った。「投資のつもりで買いたい」と、静かな家庭に波風をたたせ反対された。4人目に男の子を出産し家業(鋳物業)の後継ができたと舅・姑・夫は喜んだが、私は穏やかな気持ちになれなかった。隣に中学校が建つ市の計画があり、「よし、この話に乗ろう」工場閉鎖のチャンス到来、良かれと思い言葉に出したら「お前は何を考えている」と一喝された。

 

4人の子持ちになると心は攻撃的に豹変「鋳造業は3K(汚・きつい・危)斜陽で役者は年寄りばかり、息子は好きな道を歩ませたい」と進言した。そして、学校用地の話が進み代替地に荒川と芝川に挟まれた土手際の土地を世話され、「ウン、HOTEL業が良い」と思い発した言葉は夫を失望させてしまい酷く反省した。私の心の中は悪知恵が同居していて時々顔を出す。

 

    川口

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その後、5キロ離れた工業団地の土地を世話され、また工場を建て再開を考えている夫と意見が分かれ、私は絶対に手伝わないと宣言した。丁度タイミングよく貸して欲しいとある会社が現れ、今後は景気に変動されない安定した生活をと夫を説得し賃貸業に移行した。程なく夫は、脳出血で倒れ全身マヒになり4年の看病後47歳で亡くなった。あれから35年、当時市内に600軒の鋳物工場があったが今は一割にも満たない。跡地には高層マンションが群立し、一変した都心の街並。『本当に住みやすい街大賞 2020』に川口が選ばれた。

 

あの時、会社を止めていなかったらゼロ以下の人生を送ったかも知れない。人に言えない失敗や反省もあった。しかし、人生には楽しさや感動もあり、時には、目頭を熱くした日もあった。現在4人の子供達も独立し、振り返ってみると結構冷静に世間を見、自覚しながら世の中を生きてきたなと思う。

 

今月はMRIで見つかった血腫の経過判断のため再入院、手術になるか気持ち穏やかでないが人生色々……。

新たな眠れない夜をおくると思う。                    

    皆さん要注意:塩分・糖分・油分・水分・栄養・睡眠・運動。

         手当は早めに、コロナウイルスにも。