【Kissの会  ゲスト投稿no.75】      「“コロナ”な日常」

2021-11-01 (7期)  関根 重明さん

 

昨年2月、学友との懇親会終了後、数人で都内カラオケ店と居酒屋を梯子して帰宅した時の妻からの指摘で、対コロナの危機感欠如を自覚しました。以降、友人、社友会OB会等全て自粛して、読書(面白そうな本)、家事手伝い、ウオーキング(散歩)&晩酌そしてNHK&BSの報道・特集番組視聴の毎日です。月2回程度の通院、時々の温泉宿泊や夏期避暑地滞在等の“非日常”は有り。 今年はRSSC上田信ゼミ7期生の近況報告等ZOOM交流会が加わった。川崎市民アカデミーで選択した今年後期は「古代オリエント文明研究の最前線」で、初日は月本昭男先生の講義でした。

 

読書は、日本近現代の戦争・政治史関係が中心でしたが、昨年のJ・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』再読から、『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書 川北稔)、『世界史序説』(ちくま新書 岡本隆司)等、グローバルヒストリーへ対象を拡げている。今年は、遠山美都男の『日本書紀の虚構と史実』(洋泉社歴史新書)、『天智と持統』(講談社現代新書)、『天平の三皇女』(河出文庫)から、現在は 日本古代史(天智~天武・持統~聖武~桓武天皇の時代)関連も楽しんでいます。 

 『砂糖の世界史』と『奴隷船の歴史』(岩波新書 布留川正博)は、教科書の三角貿易復習となりました。犠牲者1,000万人とされる奴隷船による貿易は400年にわたり大西洋上で繰り広げられた。

 

  第一辺 ヨーロッパ各港から鉄砲綿織物等商品群を積んでアフリカに

      向かう

  第二辺 アフリカ貿易拠点で、商品群と交換に奴隷が購入され、先住

      民激減を穴埋めする労働力として南北アメリカに運ばれた。

  第三辺 アフリカからの奴隷と交換された砂糖やコーヒー、綿花等植

      民地物産がヨーロッパで売却され、莫大な利益を実現した。

 

最も早く「世界商品」となった砂糖は、15世紀半ばからの奴隷貿易を中心とする三角貿易によって、ヨーロッパ人がプランテーションをつくったカリブ海で、アフリカからの黒人奴隷により生産され、殆どはヨーロッパで消費された。最大消費国イギリスでは、産業革命の資金需要をまかなう資本蓄積の主要な源泉となったといわれる。                   


 

古代史研究者水谷千秋が、激流を生きた女性達を描いた『女たちの壬申の乱』(文春新書)を読み、万葉の時代は、皇位継承をめぐる血で血を洗う謀略の時代でもあったようである。

 

七世紀半ばから八世紀初めにかけて、乙己の変(大化の改新)、白村江の戦い、壬申の乱という激動期を経て古代律令国家をつくりあげたのが、同母兄弟の天智天皇(中大兄皇子)と天武天皇(大海人皇子)、そして天智の娘にして天武の皇后であった持統天皇である。乙己の変後中大兄は、皇位継承上優位な立場にあった異母兄の古人大兄を謀略で一族もろとも滅ぼした。天智天皇となった中大兄には9人の后妃がいたが、皇后の倭姫は古人大兄の娘であり、一族を夫に根絶やしにされた。

 

天智天皇死後、兄弟の確執を経た大海人が壬申の内乱で、天智の長男大友皇子に勝利して天武天皇となった。自死したとされる大友皇子の妃は大海人(天武天皇)の娘十市皇女であった


ところで、「万葉集」の名高い女性歌人の額田王は、最初大海人の妻となり、十市皇女を産むが、その後大海人と別れ、中大兄の后妃となったと考えられている。壬申の内乱後、額田王と娘の十市皇女は共に天武朝の宮廷で余生を送ったとのことである。天武天皇には后妃が10人いたが、皇后は天智天皇の娘で、後の持統天皇である。持統天皇は、天武崩御直後、息子草壁皇子の即位のため草壁の異母弟で文武に優れた大津皇子を謀略で殺したが、病弱の草壁皇子が亡くなると自らが中継ぎとして即位し、草壁の遺児で、孫にあたる軽皇子(文武天皇)に生前譲位した。彼女には自分以外の后妃、自分の産んだ草壁皇子以外の天武の息子の系統に皇位を回さないという強固な意志があった。この文武天皇の子が後の聖武天皇である。