【Kissの会 ゲスト投稿no.68】  「微生物との共生は大変?」

2021-04-01 (7期生) 佐野 光宏さん

 

新型コロナの影響で巣ごもり生活に入ってもう一年が経ってしまった。昨年4月に非常事態宣言が発せられウォーキングと読書に専念していたときに、我が家の積ん読から最初に選ばれた本が『あなたの体は9割が細菌』であった。ヒトと微生物の共生の話である。 

というのも、5年前のRSSC休学中にベンチャー企業による腸内細菌検査に研究参加して、自身の腸内環境の状態を検査した結果、腸内細菌タイプはバクテロイデス属の細菌が多く含まれているB型と判定され(そのほかにルミノコッカス属のR型とプレボテラ属のP型の3タイプがあるらしい)、動物性タンパク質や脂質を摂取する食習慣との関連が報告されているということであった。脂肪を燃焼する作用が強く、肥満を予防する働きが強いタイプと考えられ、腸内細菌の多様性は平均的で、主要細菌の割合は乳酸産生菌がやや多め、その反面、善玉菌として有名なビフィズス菌が平均より低かった。老化現象とはいえ、それ以来、ビフィズス菌の割合を増やさなければと毎日「ヤクルトミルミル」のお世話になって現在に至っている。われながら何と単純なんだろう思う。

この腸内細菌検査を受けた動機は、ヒトの糞便の中身は食べ物の残骸というより殆どが腸内細菌だとか、腸内細菌が脳にまで影響を及ぼしているというような話を聞いて興味を持ったのと、何年も飲み続けてきた生のケール青汁と乳酸菌錠剤(LS1)の腸への効果を期待する気持ちがあったと思う。

 

そんなことでこの本を読み終えてから、これはよい機会と本屋に行って腸内細菌の関連図書を探し、数冊を立て続けに読んで、すっかり「ヒト・マイクロバイオーム」の信奉者となってしまった。

そこで、この巣ごもり期間中の食生活で、まずは大腸にいる腸内細菌の大好物である食物繊維の摂取を増やそうと、初夏に計画を立ててみた。自分の餌ではなく、共生している腸内細菌のエサとして選んだ食べ物が枝豆とカリフラワーであった。

 

ところが、長年動物性タンパク質や脂質を主に摂取する食習慣のなかで、枝豆とカリフラワーはどうもビールのおつまみ(ヒトの餌)にしかならなかったようだ。秋に健康診断を受けたところ、中性脂肪の値が基準範囲を大きく超えていた。

 

まあ前日の食事の影響もあるだろうが、どうも巣ごもり期間中の毎日の晩酌によるカロリーの取り過ぎやスポーツジムでのマスク着用による運動で脂肪燃焼が足らなかったのか…。それからは食生活のコントロールを余儀なくされてしまい、山歩きとか運動の幅を拡げて脂肪燃焼に取り組み、なんとか晩酌の機会だけは維持してきている。

 

昨今の「腸内フローラ」ブームで、乳酸菌やビフィズス菌がクローズアップされており、ヒトの健康を支える腸内細菌の不思議なメカニズムの解明に大きな期待が掛かっている。

 

そう言えば、専攻科修了論文の総合テーマが「共生」だったが、その「共に生きる」相手がヒト常在の微生物であることが現実味を帯びてきたようだ。まずは一番身近な食生活でどのように腸内細菌と共生できるのか興味津々である。