【Kissの会 ゲスト投稿no.83】    「北海道 秋の道東温泉巡り(その2)」

 2022-06-01  (7期) 加瀬 靖博さん

 

前回(2022-05-01)にご紹介した道東の温泉巡り(その1)から続いてNo3からNo1までをご紹介します。 

 

No3  十勝川温泉

 

十勝川温泉からさらに山奥にあるキャンプ場を抜けた川のほとりにある絶景の無料露天風呂です。比較的大きく泉質は透明で適温、混浴であり一応脱衣所もあります。紅葉の時期でもあり川の流れを眺めながらの入浴はとても心地よく、素晴らしい一時を過ごすことができました。しかしその後アブの襲来を受け早々に退出しました。自然の中ですから色々アクシデントもあります。 


No2  瀬石(せせき)温泉

 

「北の国から」でも登場した知床半島の羅臼側にある入浴難易度が非常に高い無料露天風呂です。海岸の岩場にあるため普段は海中にあり、干潮時にだけ現れる幻の露天風呂で底から熱い温泉が湧き出しています。温度調節は自然任せであり、温泉の中には海藻が入っていてまるでお吸い物のお椀の中に居るようです。この温泉に入ることは他にも難しい条件があります。この露天風呂は道路から丸見えで、近くでは工事もしているので、この温泉に入浴をすることはかなり勇気が必要です。海水浴シーズンでないこの時期に露天風呂の施設もないただの海岸を真っ昼間に一人素っ裸で歩く不審者が、道路からまる見えだからです。しかし、運よく干潮時に来ることができたこの幸運を逃すわけにはいかず、車の見えないタイミングを見計らっての入浴となりました。さすがに景観は知床の海を一望でき最高でありました。やってよかった。 


No1  岩尾別温泉

 

私が今回、道東の温泉No1に選んだのは、知床国立公園内にある岩尾別温泉です。日本で唯一の泊まれる世界自然遺産である温泉宿の『地のはて』の駐車場から、さらに山に入ったところにある上下三段に分かれた無料の露天風呂とさらに奥に入った所にひっそりと小さな露天風呂があります。ここ岩尾別温泉に来るためには道路規制があるためバスに乗り換えなければ行くことができません。到着が夕方になってしまいあきらめかけていたのですが、運よく先客3人が乗る最終バスに間に合い目的地に向かうことができました。そこから車がすれ違うことも困難な森の中の道を走り、やっと目的地の正真正銘の地のはてに到着しました。ここから無料の露天風呂に向かうのですが、夕暮れも近く肉食のヒグマが多い知床の誰もいない山の中に一人で分け入ることはとても不安でした。しかしここまで来てあきらめることはできず、もしもの時は運命と思い、思い切って向かうことにしました。 


最初にあった三段の湯は湯温が低く入浴はあきらめ、さらに奥にある露天風呂に向かうことにしました。すでに夕暮れが迫りクマと出会う危険もあるため、おっかなびっくり探していたところ運良く見つけることができました。しかしここに一人で入浴することは、冬眠前の腹の空かしたヒグマに裸で温めたエサを晒すことになります。日本でもトップクラスの非常に危険な露天風呂ですが、ここまで来て入浴せずに帰ることはできず、周りに注意を図りながらこの秘境の無料温泉の入浴を決心し実行しました。結果、とても怖い露天風呂でありましたが、泉質は無色適温でとても神秘的な心地良い露天風呂でありました。帰りは最終バスを暗くなったバス停で一人寂しく待つこととなり、ほんとにバスが来るのか不安でしたが、すっかり暗くなったころやっとバスが来ました。最終バスの乗客は私一人でした。バスの運転手さんの話によるとこちらに来るときに親子のクマと出会った話を聞きぞっとしました。私も帰りのバスの窓越しに、暗い道端に二つの光る眼を見た気がしました。その後ニュースでクマの被害の多発を知り、ほんとに無事に戻れてよかったなと思いました。

 

ぜひ機会がありましたら皆さんも楽しい露天風呂巡りを楽しんでください。